姫路市安富町皆河地区 野生動物育成林整備の取り組み~バッファーゾーン活用~
レポーター:大橋 拓哉
取材日:2016年2月16日(火)
活動場所:姫路市安富町皆河野生動物育成林地区
取材対象:皆河自治体 自治会長 古井 重次郎様、
兵庫県中播磨県民センター姫路農林水産振興事務所 前嶋 美希様
住 所:姫路市安富町皆河向山977番地35ほか
近年シカやイノシシが人里に下りて被害を及ぼしていることをよく耳にします。今回取材した安富町でも、シカに作物の苗を食べられたり、体に“ヤマビル”を付着させたシカが人里に下り、人の血を吸われることなどがあるそうです。そこで、野生動物が人里に下りてこないように人と野生動物を分ける“バッファーゾーン”という境界線を設けていると聞きました。“バッファー”とは“緩衝物”という意味で、バッファーゾーンとは野生動物が人里に下りないように山の麓にバリケードとしての柵を設け、生い茂る森林を遠くまで見渡せるように木々を整備することで、人里に近づく野生動物の様子を把握しやすくし、山奥に引き返させるアクションを人間が起こしやすいように工夫したゾーンです。本来のバッファーゾーンの目的は、「野生動物を本来いるべき場所に戻し、人と野生動物の住み分けをすることである。」と話されていました。野生動物の様子を監視する効果やゾーン内に設置されている横に倒した木々によってシカの足場を悪くさせ人里への降下の防止に繋げる工夫がされています。
姫路市安富町のバッファーゾーンなどの山づくり事業は、市内でも特に熱心に取り組まれていると聞きました。姫路市安富町皆河地区の住民の方が、決められた山を整備し関わっていることで、他地域からも安富の整備された森林に関心を持ち見学に来られるそうです。しかし、山林整備の物理的な対策だけでは本当のバッファーゾーンとしての機能を果たしません。継続して生い茂る木や草を刈る人がいないと、結局はバッファーゾーンも野生動物の住処と変わってしまいます。必要なことは、山林の整備をしている地域住民が継続して関わることだと思います。
僕は今回の取材を通して、バッファーゾーンの整備以外に継続して行う安富町地域住民の努力によって森林整備が成されていると感じました