平成20年度分 大気環境科

論文の内容

題名 掲載誌名 著者 概要
大気汚染常時監視測定局の適正配置に関する一考察 全国環境研会誌 33(2), 70-76 (2008) 藍川昌秀,平木隆年,英保次郎,坂本和暢 兵庫県が実施している大気の汚染の状況の常時監視について、測定局又は測定地点の適切な配置という観点から、2005年に示された改正環境省事務処理基準 等をもとに考察した。監視体制を考える際の基本的な考え方を示すとともに、監視項目ごとに現在の測定局数及び改正環境省事務処理基準に基づく必要局数につ いてとりまとめた。また、二酸化硫黄及び一酸化炭素については、監視項目の地域分布並びにこれまで測定・蓄積されてきたデータをもとに、測定局の適切な配 置について考察を行った。
大気汚染常時監視に係る二酸化窒素濃度測定局の適正配置に関する一考察) 全国環境研会誌 33(4), 39-48 (2008) 藍川昌秀,平木隆年,英保次郎,坂本和暢 兵 庫県が実施している大気の汚染の状況の常時監視について、二酸化窒素濃度に関する測定局又は測定地点の適切な配置という観点から、2005年に示された改 正環境省事務処理基準等をもとに考察した。現有局数及び将来必要とされる局数から、二酸化窒素に関しては測定局又は測定地点の移設という考え方が適当であ ると考えられた。測定局又は測定地点が不足していると考えられる地域については,移動観測車による測定により蓄積されてきたデータをもとに,地域内での濃 度分布の特徴について考察を行った。
大気汚染常時監視に係る浮遊粒子状物質濃度測定局の適正配置に関する一考察 全国環境研会誌 34(1), 53-62 (2009) 藍川昌秀,平木隆年,英保次郎,坂本和暢 兵庫県が実施している大気の汚染の状況の常時監視について、浮遊粒子状物質濃度に関する測定局又は測定地点の適切な配置という観点から、2005年に示さ れた改正環境省事務処理基準等をもとに考察した。現有局数及び将来必要とされる局数から、浮遊粒子状物質に関しては測定局又は測定地点の移設及び増設とい う考え方が適当であると考えられた。測定局又は測定地点が不足していると考えられる地域については,移動観測車による測定により蓄積されてきたデータをも とに,地域内での濃度分布の特徴について考察を行った。
西部太平洋上における夏季と冬季の表層大気中オゾン 環境技術 .37(5), 332-339 (2008) 小林賢 ,平木隆年 ,石田廣史 オゾンは地球温暖化や有害紫外線の遮断と同様に,大気沈着物の酸性化に重要な働きをするが,地球の約70%を占める洋上における大気中オゾン特性は必ずし も十分に明らかではない。本報告では,海洋上表層大気中オゾン濃度の特性を明らかにするため,西部太平洋海域において,1993年から1998年の毎年8 月と1998年の2月に日本とオーストラリア航路の海域において観測されたオゾン濃度データに基づいて解析を行った。海洋上表層大気中オゾン濃度には光化 学反応の影響もなく大きな日変化は検出されなかった。オゾン濃渡は8月の観測では,北緯30度では12ppbv,赤道では19ppbvであった。そして南 半球でも増加傾向を維持し南緯30度で27ppbvであった。2月の観測では,8月の結果とは逆の傾向を示し,北緯30度では47ppbv,赤道では 22ppbvであった。そして南半球でも減少傾向を維持し南緯20度では11ppbvであった。オゾン濃度の2月と8月との間の差は低緯度より高緯度の方 が大きくまた,季節変動は南半球よりの北半球の方が大きかった。オゾンの起源と経路について調査するため,5日間のエアーマス後進型流跡線解析を行い,最 高通過高度とオゾン濃度に正の比例関係が認められた。
Characteristic Variation of Concentration and Chemical Form in Sulfur, Nitrate, Ammonium, and Chloride Species observed at Urban and Rural Sites of Japan Water, Air and Soil Pollution 190, 287-297 (2008) 藍川昌秀,平木隆年,向井人史,村野健太郎 大気中ガス・エアロゾル濃度に関する比較調査を神戸と豊 岡で行った。硫黄化合物については、神戸と豊岡の違いが二酸化硫黄濃度に顕著に観測された。窒素化合物について、濃度の顕著な季節変化が観測され、神戸と 豊岡のいずれにおいても、夏期に高濃度の硝酸ガスが観測された。本調査から、神戸と豊岡での大気中ガス・エアロゾルの濃度や組成に関する違いが明らかと なった。その一方で、ガス・エアロゾルの平衡という観点では両地点は類似した状態にあると考えられた。
Air Temperature Variation with Time and Thermally Evaluated Atmospheric Conditions correlated with Land Use Change in Urban Areas of Japan International Journal of Climatology 28, 789-79 (2008) 藍川昌秀,平木隆年,英保次郎,宮崎ひろ志 1987年から2004年に阪神地域の一般環境大気測定 局で測定されてきた気温データを解析した。季節毎、昼夜別の気温上昇率に関する解析はこれまでほとんどなされておらず、貴重な情報を提示するものである。 また、土地利用形態の変化と日没後の気温変化との関係を解析することにより、土地開発が進むことにより、日没後に気温が下がりにくくなることが示された。 これは土地開発によりヒートアイランド現象が進むことを意味している。
Study on the acidification and pollution of precipitation based on a data set collected on a 0.5 mm precipitation basis Atmospheric Environment 42, 7043-7049 (2008) 藍川昌秀,平木隆年,英保次郎 降水の酸性化には大気中浮遊粒子状物質に含まれる硝酸成 分が、また降水の汚染には大気中浮遊粒子状物質に含まれる硫酸成分が、それぞれより深く関与していることが示された。本報により、降水の酸性化と汚染に は、それに関わる成分が異なることが示され、これは降水の酸性化(酸性雨)対策をこれから考える際に重要な知見を示すものである。
Change of atmospheric condition in an urbanized area of Japan from the viewpoint of rainfall intensity Environmental Monitoring and Assessment 148, 449-453 (2009) 藍川昌秀,平木隆年,英保次郎 ヒートアイランド現象との関連という観点から14年間に わたり蓄積されてきた0.5mmごとの降水データを解析した。都市域の降水強度は統計的に有意に増加していた。それに対し、郊外地域での傾向は統計的に有 意なものではなかった。降水強度の有意な増加が郊外地域では観測されず都市域のみで観測されたこと及び阪神地域でヒートアイランド現象が顕著になってきて いることから、ヒートアイランド現象と降水強度の増加との関連性が示唆された。

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